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赤ノ峰の非日常

非日常的なゲイの日常

魔法の杖はシャーペン

「買い物」かあ…と考えると、高校生である自分はまだまだ人生経験が浅いということが感じられます。

そんな少ない経験のなか、絞り出したストーリーは「初めての買い物」です。

これは変装したカメラマンが常に付きまとい、僕が道に迷い、凸凹にけつまずいて転んで、帰ったら親が涙を流すといったドラマチックなものではない。

ちなみに僕は例の企画を小馬鹿にしているわけではない。

さて話は戻り、僕の初めての買い物ですが、おそらくですが、場所は文房具屋だったと思います。

もちろんそれより以前にお祭りや親との買い物で自分のお小遣いで何か買ったと思いますが、自分の意思で店へ独りで足を運び、自分で商品をレジへ持っていったのはやはり文房具屋だったはずです。

それは小学校の3年生頃でした。

買ったのはシャープペンシルでした。グリップが太い、上下に振るとカチカチと鳴って勝手に芯が出てくる、ずっしりとしたグレーのシャーペンでした。

僕の通っていた小学校はシャーペンが禁止で、絶対に鉛筆でした。ですから、シャーペンに憧れていたのでしょう。

また親も厳しかったものですから、そうそう僕にお金を持たせてはくれませんでした。余計なものを買わせないためだったのだろうと思います。

しかし3年生あたりから遊びに行く時にはお金を持たせてくれるようになりました。それでもしばらく「自分で買い物に行く」という発想がなかった僕は、ブランコから靴投げをしてお天気占いしてばかりでした。

では、そんな家庭の息子が突如、それも勝手に、自分のお小遣いでシャーペンを買ったことが発覚したら、さてどうなるでしょうか?

簡単です。

叱られました。学校で禁止されている「余計な」ものを勝手に買ったわけですから当然なのですが、当時の僕はそれが理解出来ず、「何故自分のお金で自分の欲しいものを買ってはいけないのか」という思想のもと、親の忠告は気にせず「買い物」にハマり出しました。

何故突然シャーペンを買おうと思ったのかははっきりと覚えていません。クラスメイトがシャーペンを使っているのを見て、羨ましかったのでしょうか。

そのシャーペンは当時の僕にとって大きなきっかけでした。さしずめ梶井基次郎の「檸檬」といった所でしょうか。

いわば魔法の杖のようなものでした。

誰の介入もなく、自分の意思で欲しいものを手に入れる楽しみを、魔法の杖が僕にもたらしたのでした。

(その後余りに金遣いが荒くなって親に大激怒されたことは大きな声では言えない。)

そんなきっかけとなったシャープペンシル、今も現役で使っています。

と言ったらストーリー的に美味しいですが、そんな事はなく、買ってから1ヶ月足らずで紛失しました。

ちなみに現在はといえば、親の制限もなく自由にお金を扱っていますが、節約に魂を燃やして日々紙幣・硬貨タッグチームと格闘しております。

結局僕はあまり「買い物」が上手ではないようです。

 

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